8月22日

ラサルも自然豊かな美しい街です。8月22日から27日まで、ここで、同じくピエール=アンリ・シュレブ氏が芸術監督を務められるヴィヴ・アルト音楽祭が開かれました。初日の朝、市庁舎で行われたミーティングに向かう途中で撮った写真です。

音楽祭のポスター。今回は中国の伝統楽器と音楽がひとつのテーマで、中国語の表記が取り入れられていました。

ラサルは去年の夏にリサイタルで訪れて以来、たびたびお邪魔している街です。青空に映える明るい街の色に気持ちがはずみます。

夕方、コンサートの準備が着々と進みます。ここには2015年の2月に入った小さな古いプレイエルのピアノがあり、同年の夏のリサイタルが、このピアノを使った最初の公開演奏会ということで、弾き初めをさせていただいた思い出の場所とピアノです。完全帰国直前の昨年冬にはショパンの1番協奏曲を演奏しました。小さいのにとても豊富な色とカンタービレを持った楽器で、特にショパンやフランスものを弾くと嬉しそうに歌ってくれます。

開演前には満員になった会場。

スー・チェンさんと、シューマンの4つのおとぎ話Op.113

ピエール=アンリ・シュレブさんと、クロード・ボリングのタンゴ、プーランクの羊飼い、ベンジャミンのジャマイカン・ルンバを演奏しました。

ソリストが小さなステージの上に立ち、ピアノがその下でという慣れない設定でしたが、プレイエルのピアノが繊細なヴィオラの音とよくマッチしてくれました。

2つのヴィオラとピアノでは、サミュエル・テュパンのヴェルシオン・ラティーヌという、ミロンガとフーガからなるタンゴと、ジョセ・ホワイトのラ・ベラ・キュバナを演奏しました。
この他に二胡のチュ・ジャンボさんと2曲演奏しましたが、本番の写真がないのが残念です。
シューマンの晩年の作品、ラテン系諸国の音楽、中国の南部・北部の音楽…と、2時間で世界一周するようなプログラム、楽しく演奏しました。

終演後、去年のリサイタル以来いつも熱烈に応援に来てくれている地元の小さな音楽家達が面会に来てくれました。
音楽祭では毎日、日中はそれぞれの演奏家たちによるマスタークラスが、夜はコンサートが開かれました。
8月23日

この日のコンサートでは、まずトップバッターでソロを弾きました。曲はドビュッシーのノクターン。

続いて友人指揮者で今回女性合唱のマスタークラスを受け持っているカレン・カプフェレルさんが歌う、フォーレとドビュッシーの歌曲を伴奏しました。

スー・チェンさんとディーリアスのヴィオラ・ソナタ第2番。

この日は他に、チュ・ジャンボさんとご主人、お嬢さんによる二胡のトリオや、二胡と古琴のデュオなどが演奏されました。
今年の音楽祭は中国の伝統楽器が一つのテーマになっていて、中国からたくさんの演奏家と若い音楽家たちが参加していました。
8月24日

お昼の打ち合わせ中の一コマ。スーパーマンはフランス人アコーデオン奏者のグレゴリー・ダルタンさん。リハーサルの合間に、せっかくの機会だったのでタンゴのリズムを是非聞かせてほしいという、僕のリクエストに快く応えてくださり、色々と弾きながらレクチャーしてくださり感銘を受けました。今後タンゴを弾くときには活かせそうです。
8月25日

この日のコンサートでは、マスタークラスに参加していた、スー・チェンさんのお弟子さんのヴィオリスト、ウェン・ボー君と、クラリネットのマリー・エレヌさんと、モーツァルトのケーゲルシュタットトリオをご一緒しました。

コンサートの後半には、マスタークラスでご一緒した女声合唱団と、ベルリオーズのオフェリーの死とシューベルトのセレナーデ(有名な歌曲の方ではなく合唱曲として書かれた素敵な作品)を演奏しました。演奏前には歌詞の朗読が。

フランス語の歌とドイツ語の歌とでは、伴奏する身としては言葉の性質に寄り添うために、前奏の時点で音楽の運びと抑揚の性質を切り替えます。自分の身体の中から感覚を変える必要があるので、2曲目を弾き始める前はガッチャッと前輪駆動から後輪駆動にギアチェンジでもするような感覚です。

この日はヴィオラ、二胡、アコーデオン、クラリネット、ハープのマスタークラスに参加していた若い人たちや先生方も多くが演奏に参加しました。

音楽祭期間中、日中は女声合唱のマスタークラスで伴奏を務めました。
8月27日

音楽祭最終日はピアノの無い会場だったので、素晴らしい演奏を客席から鑑賞しました。