2016年9月9日~11日
9月9日

本番翌日、マルセイユを出発する前に15分だけ観光ができた。ここはマルセイユを一望する、ノートルダム・ドゥ・ラ・ギャルド・バジリカ聖堂。


大きな港街のマルセイユの教会には、航海の安全を祈願した船の模型や船の絵がたくさん展示してあった。


太陽のあまりのまぶしさに、目を閉じないでいるのに必死。
海のそばなのに、風がからっと乾いていて心地良い。


マルセイユ・プロヴァンス空港からパリへ。


パリには遅く着いて、乗り継ぎのため一泊眠るのみ。3月末まで7年間住んでいた元自宅のすぐ近くで一泊した。寝る前に少しだけ歩いてみたが、5ヶ月ぶりでも変わらない日常が流れていた。変わったのは公園に赤い大きな植木鉢と駐輪スペースが現れた事と、、、

落書きアートの絵柄が更新されていたこと。
住んでいた部屋にはまだ誰も入っていないようだった。住み慣れた場所なのに家に帰らないのが妙な感じだ。少しのさびしさと、そばにいても遠くにいても変わらず世界はつながって続いていくという安心感を噛み締めた。



9月10日
翌朝再び格安航空に飛び乗り、ミラノの親友を訪ねた。

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イタリアでのチッコリーニ先生のマスタークラスで2010年に出会って以来、毎年同じマスタークラスで学び合い、その後パリでも2年間同じクラスで勉強した仲間。僕よりも先にパリを去っていたのだが、今回幸い帰国便にミラノを経由する格安チケットが手に入り、1年ぶりに再会する事ができた。帰国後の苦労話や、近況報告を兼ねたピアノの弾きあいなどをした後、去年亡くなったチッコリーニ先生がかつていつも好んで召し上がっていたアペリティフで、マエストロに献杯した。話していると、恩師から学んだ事がまた違った角度から立体的に見えてくる。


2015年6月の友人の試験の時の模様。パリ・エコールノルマル音楽院のホール"サル・コルトー"にて。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を伴奏した。この学校の試験は予選と本選からなるコンクール形式で、審査員には学外から著名な教授やピアニストが呼ばれ、最上級の課程になると、審査員も受験生も大きな国際コンクールさながらの顔ぶれになる。そこで最後まで選ばれた学生しか修了認定を受ける事ができない。毎年各課程が厳しい試練となっている。
私の受けた2012年のコンサーティスト高等課程修了試験では、この音楽院の演奏高等課程修了か、国際コンクール世界連盟加盟のコンクールでの入賞者という条件でエントリーを認められた16名が受験し、修了証を与えられたのが5名。この時の首席は、浜松国際ピアノコンクールを始め多くのコンクールの覇者でもあるイリヤ・ラシュコフスキー氏だった。この様な環境はあまり外に知られていないようだが、学内にいながら世界中の多様なものすごい才能・演奏にいくつも接することができ、また彼らと交流を深めることができたのは貴重な財産だ。
この伝統ある名ホールや、重要文化財に指定されている歴史ある校舎の、豊かで自然な音響のレッスン室で勉強を重ねられた事(ペダルの概念が根本的に変わった!)、コルトーの所有していたプレイエルのピアノで何度も弾けたことなども、この学校でしか得られなかった経験だと思っている。
(これから留学を考えているという人にとっては、留学先の具体的な様子がとても貴重な判断材料になる事を身をもって経験してきたので、ついでに少し触れてみた。)

9月11日

(↑写真のターミナルの屋上パネルに「ワルシャワ・ショパン空港」と記されている)
ワルシャワ・フレデリク・ショパン国際空港で乗り換えというだけでテンションが上がってしまう。
右手を故障して振り出しに戻る前、ポーランドで勉強することを真剣に考えて準備していたほど、僕にとって特別な思い入れのある作曲家ショパンの国にやってくるといつもなんともいえない厳粛な気持ちになる。
それにしても、ここはポーランドの首都ワルシャワのメイン空港。日本でいう成田か羽田にあたる、国の表玄関だ。そこに名前がついてしまうショパン。ショパンにとってのポーランドと、ポーランドにとってのショパンがこれほどの誇りなのだなと、改めて感激してしまう。


7年前に訪れた時よりも空港がうんと新しく、大きく、おしゃれになっていた。
以前は西側の主要空港で乗り換えが必要だったのだが、最新鋭のB787で東京へ直行できるようになっていた。
ポーランド人のお客さんと乗務員さんに囲まれ、大好きなポーランド語の響きを久しぶりに耳にしながら帰途についた。

翌朝、到着した成田で、偶然同じ便に乗り合わせていらっしゃった、10年以上前にお世話になっていたポーランド語の先生とばったり遭遇し、ご挨拶を交わしながら、色々なところでつながるご縁をありがたく思った。

【2016/09/12 18:00】 活動報告 | トラックバック(-) | コメント(-) | page top↑
2016年9月8日
9月8日
午前中に友人宅を発ち、車で4時間弱、マルセイユへ移動しました。







道に随分迷って辿り着いた会場からの眺めに圧倒されました。










リハーサル中の眺め。


20時半から、30人ほどの音楽家中心のお客様を前に、モーツァルト、リスト、チャイコフスキー、ブルーメンフェルト、スクリャービン、ショパンを演奏しました。


アンコールの後、サプライズでお客さん達からのハッピー・バースデーの斉唱とバースデーケーキが!私の33歳の誕生日だったのです。ぶっつけのその場で素敵にハモってくださったお客さま達!フラッシュ・モブさながらの素敵なプレゼントに胸がじ~んとなりました。


本番中にロウソクを吹き消すのは初めての経験。濃厚なプログラムで感情を深く通わせ、体力的にも出し切った後のサプライズに、頭の中が真っ白に…色々な想いが込み上げて、ただただ感謝の言葉を繰り返す事しかできませんでした……

音楽がくれた出会いに感謝した夜でした。


【2016/09/08 23:59】 活動報告 | トラックバック(-) | コメント(-) | page top↑
2016年9月4日~7日
9月4日

日記に写真を並べてみると、そうこんな事あったなぁと思い出しますが、写真に写っていない大半の時間は鍵盤・楽譜とのにらめっこや、その他雑務と打ち合わせの時間。そんな中、会話を交わしながらの食事の時間は束の間のリラックスできる時間。友人のご主人の手料理は、自然のエネルギーをたっぷり吸い込んで育った自家製の野菜や穀物がふんだんに使われていて至福のひとときでした。


ご主人とお嬢さんたちが家の前の沢でとってきたという美しい鱒をいただきました。シューベルトの音楽が脳裏に浮かびます。


この夏はとにかくたくさんピアノを弾かせていただいたのですが、まさかロバまで引かせていただくことになろうとは…
生まれて初めての体験、森の中を2時間ほど歩きながら、ロバと自然に癒されました。

9月7日
移動と本番を翌日に控え、通し稽古にひと段落ついたとき、キッチンから「ノリ!出発前に写真とっとくか!?」と友人のご主人から呼ばれ行ってみると、並べられた美しい野菜!
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左下の獅子唐とピーマン以外は全部トマトです。全て友人宅の畑でとれたもの。種類の豊富さに衝撃を受けました。
どれも信じられないほど美味しかったです。




【2016/09/07 23:59】 活動報告 | トラックバック(-) | コメント(-) | page top↑
2016年9月2日、3日
9月2日、3日は、先日のマスタークラスでご一緒した、親友のカレン・カプフェレルさん指揮の女声合唱団とのコンサートでした。
初日はメトーディスト・アンデューズ教会にて。
20160902Anduze
ここにはピアノがなく、性能の良い電子ピアノでの演奏会でした。強弱がコントロール可能とはいえ、楽器自体の振動で音を生む実際の楽器とは比較にならない、表現上の限界がありましたが、教会の響きと雰囲気に助けられながらの盛会になりました。

9月2日のコンサートにて、ソロの演奏後。


9月3日
20160903Corconac
3日は、山の上に立つ、11世紀に建てられたサン・マルタン・ド・コルコナク教会にて、前日と同じ「愛と自然」をテーマにした以下のようなプログラムを演奏しました。

フォーレ:独りきり
フォーレ:ある修道院跡にて
(以上、カレン・カプフェレルさんとのデュオ)
フォーレ:小川
ベルリオーズ:オフェリーの死
ドリーブ:森の妖精たち
(以上、カレン・カプフェレルさん指揮女声合唱団と)
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ(ソロ)
~休憩~
モーツァルト:トルコ行進曲(ソロ)
シューベルト:セレナーデ
(カレン・カプフェレルさん指揮女声合唱団と)
ドビュッシー:ノクターン(ソロ)
ドビュッシー:3つのビリティスの歌
(カレン・カプフェレルさんとのデュオ)
エルガー:雪
マスネ:女声合唱とピアノのための「花の詩」より 
花々の賛歌、
小枝の踊り、
五月の歌 (以上、カレン・カプフェレルさん指揮女声合唱団と)
~アンコール~ 
ドリーブ:森の妖精たち(カレン・カプフェレルさん指揮女声合唱団と)






1つの90分の演奏会で、歌曲の伴奏、合唱の伴奏と、ソロの演奏を織り交ぜながら弾き続けるのは、意識の切り替えが難しい初めての冒険でしたが、実際に弾ききってみるととても美しい流れのプログラムになりました。


ここのピアノは、1903年に製造されたブリュートナーのピアノで、ドビュッシーが好んで使用していたものと同じモデルということです。
この場所にもご縁があって、2年前にこのピアノが教会に入った時に、弾き初めとしてリサイタルをさせていただいて以来、何度か弾かせていただいる、愛着のある楽器です。これまでにロシアのどこかで所有されていた時代もあるのだとか。往年のピアノロールの録音から聞こえてくるような音がします。
ドビュッシーの作品の中では、ベースの長く伸ばされた響きの上で、並行的な和声が動いていく場所がたくさんでてきますが、そこは右のペダルの踏み加減で調整するのか、真ん中のペダルを使うのかといった議論や試みは、ピアニストの間でもよくなされる部分です。
それが、残響と共振のための、ハンマーで打たれない4本目の弦が張られているこのピアノでドビュッシーを弾くと、右のペダルだけでもそれがとってもうまい具合に運びます。ドビュッシーが聴いていた音ってこんな感じだったのかなぁ…という瞬間にたくさん出会ったステージでした。

【2016/09/03 23:59】 活動報告 | トラックバック(-) | コメント(-) | page top↑
2016年8月28日~9月1日
8月28日、29日

音楽祭が終わった週末、本番の中休みに友人家族の親戚を訪ねて、アヴィニョンとその周辺へ、車の旅に同行しました。



岩肌に挟まれた自動車道を抜けるといよいよアヴィニョン(だそうです、初めてなので…)


城壁に囲まれたアヴィニョンの街に到着。


市街地へ。


アヴィニョンのオペラ座。


教皇宮殿



宮殿の屋上から街を一望する。ゴッホやセザンヌに描かれている、プロヴァンス地方の太陽の光、これまで見たことのないまぶしさでした。サングラスなしには目を開けていられないほどまぶしく明るかったです。持っていなくてほぼ薄眼で街を歩いていた僕はさぞ怪しかったことでしょう…写真ではこれでも、自動的に光が相当抑えられて写っています。


アヴィニョン近郊の街にそびえる城砦


色は違うけれど、坂や階段の多い街並みに、ふと故郷の長崎を想いました。


アヴィニョンの橋で~🎶 のアヴィニョンの橋は途中で切れている。


アヴィニョンの橋の夕暮れ


橋の真ん中には小屋のような部分が。かつて橋が長く続いていたころには転々とこういう関所のような場所があったそうだ。


振り返るとアヴィニョンの街並みが。この辺り一帯の歴史地区は世界遺産に登録されています。左の石垣の上に松のような木があり、そこだけ見ると日本のお城の様にも見えました。


日本語のオーディオガイドに興味津々。フランス語版と聴き比べ。


9月1日

友人のお嬢さんたちは学校の新年度が始まりました。
小学校に上がった末っ子のお嬢ちゃんの始業式への見送りに街へ同行しました。
とても美しい朝でした。
【2016/09/01 23:59】 活動報告 | トラックバック(-) | コメント(-) | page top↑
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